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生きる、それこそが証
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コメント

※順不同・敬称略
神に倣う人は、その生き方によって周りを変えていく。熊本裁判官も、弁護士も、ボクシング界の支援者も、ジャーナリストも、そして笠井監督も、袴田さんが目指す「新しい世界の改革」の伴走者である。洗礼名の聖パウロのように、袴田さんはその存在をもって今なお伝道の只中にあると思えてならない。
最相葉月
(ノンフィクションライター)
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私は、映像を見ながら、「人一人の命」という言葉を、それを支える文章も思いつかないまま、何度となく繰り返していた。
私は確かに、その痛ましさに胸を締めつけられたが、しかし同時に、仄かな光のようなものも感じた。
平野啓一郎
(小説家)
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丁寧に、そして謙虚に、袴田巖さん、ひで子さんの声に耳を傾け、時に語りかけ、見つめ続ける日々。思わず心震える特別な瞬間や、何気なく撮られた日常の、過ぎてゆく時を慈しむような眼差し。やがて静かに浮かび上がる姉と弟の、不思議にやさしい、穏やかな物語。しかし、そこに秘められた怒りと悲しみは、あまりに重い。
周防正行
(映画監督・「再審法改正をめざす市民の会」共同代表)
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47年7か月の獄中生活の末、袴田さんが保釈された日、僕は東京拘置所前にたむろしていた大勢の報道陣の中の一人だった。袴田さんは、拘置所から車で娑婆に出た。そのまま車は通り過ぎていった。僕らは茫然としていた。車の中で袴田さんはどうだったのか。姉の秀子さんは、弁護士たちは、どうだったのか。笠井監督のカメラが記録していた。真の報道とはこのような行為をさす。検察庁が自らの過ちを認めぬ限り裁判が延々と続くシステムがこの国にはある。それが人をどう壊すか。それに向き合う営為には、よほどの勇気と誠実さがなければならない。笠井監督はそれを成し遂げた。そして今に至るまでその営為は続いている。
金平茂紀
(ジャーナリスト)
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映像の中の袴田巌さんは、ずっと歩いていた。家の中でも路上でも。ただ黙々と、急ぎ足で。狭い獄中でも、そうしていたに違いない。それは突然、自らの身に降ってきた不条理に対する「無言の抵抗」のようにも感じられた。諦めない、屈しない、へこたれない。「タフなブルファイター」(日本ボクサー辞典)。それは袴田さんの現役時代のファイトスタイルそのものだったのではないか。このドキュメンタリー映画が問うているのは、私たちの「良心」である。
二宮清純
(スポーツジャーナリスト)
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袴田さんは聖人である。毎日、比叡山の回峰行者のように浜松の街を歩きまわり、祝福を与え、おばけを退治している。その行為によって世界に平和がもたらされているのではないか。私は映画を見て、そう考えた。死刑判決は、キリストの十字架刑に匹敵し、袴田さんは死から復活をとげ、それでかけがえのない役割を果たすようになった。私たちは戦い続けなければならない。それがボクサーだった袴田さんの究極の教えだ。
島田裕巳
(宗教学者)
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捜査官が、漸くにして犯人と見られる人物を逮捕したと想定しよう。捜査官自身は犯人と確信するが、決定的な証拠が不足し被疑者の「巧妙な弁解」を打ち破る決定打が不足する。そのような場合、捜査官は、「このままでは眞犯人に間違いないと確信する人物が処罰を免れてしまう」と焦慮し、「物的証拠に作為を加えてでも、目星をつけた被疑者を犯人として処罰したい」という心理に駆られることになる。
捜査官にとっては「真犯人を処罰すること自体が『正義』」なのであるから、「真犯人(と確信する人物)を処罰するため」という大義名分があれば、物的証拠への作為に心理的抑制が働かないということが十分あり得るのである。
木谷明
(弁護士(元裁判官))
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この映画はヒューマンドキュメンタリーで、悲壮感や絶望感、怒りのようなものを不思議なほど感じさせない。感じたのは、秀子さんの圧倒的な人間力から溢れる巌さんに対する愛情。その愛情により、約半世紀の長い時間が少しずつ埋まって塗り替えられていく様子は圧巻。「死」と隣り合わせの巌さんと、すべてを達観した秀子さんの人生から、生きていることに無頓着な自分に、どう「生きる」べきかのメッセージをたくさん頂いた。
飯田覚士
(第9WBA世界スーパーフライ級チャンピオン)
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この笠井監督の力作『拳と祈り』を観てつくづくよかったと思うのは、ボクシング界が袴田さんの支援団体に名を連ねていることである。袴田事件の翌年生まれの新田渉世会長らが粘り強く支援活動を続けられたのは、もちろん袴田さんの冤罪を信じたからだが、同時に袴田事件の裏に潜むボクシング、ボクサーへの根強い偏見、これに対する反発も大きかったのだと思う。
前田衷
(ボクシング・マガジン初代編集長)
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東京拘置所を後にするワゴン車の中の冷たい表情、ホテルのふかふかのベッドに姉と横たわる姿、死刑判決を下した元裁判官との対面——。映画は、袴田さんの釈放後の歩みを丁寧に描き出している。能面のようだった表情が、徐々に優しさを取り戻していく過程が印象的だ。22年にわたる笠井千晶監督の執念が、映像の隅々にまで息づいている。同じドキュメンタリー制作者として、深い敬意と羨望を抱かずにいられない。
齊藤潤一
(関西大学教授・元東海テレビディレクター)
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笠井千晶監督のカメラは人間性のあるカメラです。撮影された場面以上の事を見せるカメラです。いかに巌さんへのひで子さんの愛情が強いかを見せるカメラです。いかに巌さんにとってボクシングが人生に大事かを教えるカメラです。と同時に人間性のない世界(取り調べ、拘置所、裁判所)も間接的に映っています。人間性、愛情、人生、正義といった誰にとっても重要な価値観を考えさせるドキュメンタリー映画です。
西村カリン
(フランス人ジャーナリスト、ラジオ・フランス及びリベラシオン紙 特派員)
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一秒も目を背けられない。この映画は真実しか映していないからだ。
上映中、袴田巖さんと同じ時間を感じ、上映後、袴田事件は他人事ではなくなる。
何があっても前に進み続ける袴田さんと姉秀子さんを20年以上撮り続けた笠井千晶監督は生身の人間から何が奪われたのかをスクリーンに映し出す。その人生の一瞬一瞬から目を背けることなど、決してできなかった。
西脇亨輔
(元テレビ朝日法務部長・弁護士)
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人間は間違える。人間が集まった組織は、もっと間違える。
間違えた時、どうすれば、間違えたと認めることができるのか。
それでも信じ続けた人の強さ。お姉さんの笑い声が耳に残る。
声を上げる強さと黙り込む弱さ。
権力は正しく使われなければならない。
その当たり前を壊し、無数の破片が突き刺さった事実を直視したい。
武田砂鉄
(ライター)
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無実だからこそ、拳ではなく
社会に向けた私たちに向けた祈りを感じた

奪われた時間
壊された人格
踏み潰された人権

冤罪は身近にある
他人事ではないのです。
アナタのためにも、家族のためにも、
関心を持ってそして耳を傾けてほしい。

謝罪じゃ済まされない
冤罪こそ「重罪」ではないのか?

奪われた時間は傷はもう治らない
ですが、これから先は袴田さんに安心と笑顔が戻ってほしい

それがわたしの「祈り」
サヘル・ローズ
(俳優、タレント)